blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

カテゴリ: 不動産

Delhi Development Authority to renew lease for Taj Palace hotel, Tatas get a breather

インドで有名なホテルのTajホテル。Tataグループの創設者がムンバイの外資ホテルに泊まろうとした際、西洋人のものであるからと宿泊を断られたため、これに怒ってインド人のための豪華なホテルを作ろう、と一念発起して作られたホテルで、Indian Hotels Companyという会社が運営しています。その中でも、ムンバイのTaj Mahal Palaceは有名ですし(2008年11月のテロの標的にもなった場所です)、デリーにもTaj Mansinghなどの同じくホテルがありますが、この土地利用契約の延長についてトラブルが起きているという記事です。

まず、ムンバイのTaj Mahal Palaceは土地所有者のMumbai Poret Trustとの間で土地利用契約を結んでいましたが、実はこれは2002年に99年リースの契約が終了しており、Trust側からは昨年3月に土地明渡通知が発せられていて、現在高等裁判所で係争中とのこと。

次に、Taj Mansinghについては、33年リースの契約が2011年に終了したのを「双方の合意による」と定める契約条項に基づいて今年10月まで延長したのですが、その後は、土地所有者のNew Delhi Municipal Councilが土地のオークションを検討しているとのことで、こちらも微妙な状況です。

一方、デリーのChanakyapuriのホテルについては、今年3月末に終了する30年のリース契約の延長をTajホテル側が所有者のDelhi Development Authorityにすでに申し入れています。この契約上は、ホテル側に同条件での25年延長オプションが認められているため、契約条項違反がない限り、契約は延長されるのではないかとのことです。実際には、契約が定めるホテル収益の分配条項について両者間ですでに争いがあり、これについては仲裁手続が進行中のようですが、これ自体と契約の更新とは関係がないものと扱うようです。

特に最初の2つはホテルの収益上もレピュテーション上も非常に重要な拠点であり、Tajホテルとしてはなんとしてでも利用権を確保したいところかと思います。

Mumbai-based Lodha Group to sell Lower Parel project through IPO model

ムンバイに拠点を置くディベロッパーがマンションを売り出す際、特定の眺望を保証するプレミアムをなしにする代わり、価格を低く抑え、部屋は一定の条件に従ったアルゴリズムで割り当てよう(記事では、これをIPOのような割り当てと表現しています)、ということを計画している、との記事です。この方法自体、政府系の物件では使われていたものの、民間の業者が扱うのは初めてとのこと。昨年のインド経済の減速(とは言ってもGDP成長率は6%台だとは思いますが)のため、不動産市場も落ち込んでおり、これに対する対応策の一つのようです。

2ベッドの部屋が3500万ルピーから、3ベッドは4500万ルピー、4ベッドになると6750万ルピーと、安くしているとは言ってもムンバイでは「億ション」に届いてしまう勢いですね。。ムンバイはもともといくつかの島の間を埋め立てて今の反騰のような形になっており、基本的に土地がありません。ただ最近は、かつての紡績関係の工場跡地がごっそり再開発でマンションやオフィスパークになることが多いようですが、このような高額の物件を購入する層がどんどん現れていると言うことですね。

http://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/After-stamp-duty-fee-VAT-cannot-be-levied-argue-builder-lobbies/articleshow/16985794.cms

VAT(付加価値税)についての訴訟経過に関するニュースです。VATとはインドにおける州により課税される間接税で、物品によって税率はまちまちですが、12.5%というものが多いようです。当局がディベロッパーに対し、販売したFlat(マンション)についてのVATの支払いを請求しているのに対し、ディベロッパーがいくつかの反論をしています。

不勉強なのでディベロッパー側の議論の詳細が理解しきれていませんが、VAT自体は2005年に導入された比較的新しいもので、物品の販売のみに課されるもの、とのことですが、新聞記事では、これが2006年に改正され、ディベロッパーによるImmobable propertyの販売も課税対象としたことで、今回の紛争が起きているようです。今回の判決次第で、2006年から2010年に建設中の物件を買った全ての人たちも課税対象になりうるようで、インパクトの大きい話と言えます。

http://timesofindia.indiatimes.com/india/Cabinet-weighs-options-on-consent-clause-in-land-bill/articleshow/16897599.cms

 インドでは、土地収用(政府が特定の目的のために民間の土地を強制的に取得)が一つの社会問題になっています。土地収用法自体、100年以上前のもので、時代に合わなくなっており、昨今その改正が議論されていますが、今回はその関連の報道です。いろいろ政治的な駆け引きがあるようですが、現在、収容の対象となる土地の何%の地権者の同意があれば政府の収容を認めるか、という点についてはまだ流動的なようです。
インドでは、土地の売買自体、非常に不確実・煩雑で外国企業にはハードルが高く、現時点では、政府が用意した工業団地などを取得・賃借して工場用地とすることが非常に多いようです。ただ、その政府による工業団地の手配自体、うまく進まないことも多いようで、今回の改正がその問題の解消につながることとが期待されます。

http://economictimes.indiatimes.com/markets/real-estate/news/dlf-vadra-story-why-real-estate-in-india-has-become-synonymous-with-bribes-black-money/articleshow/16801519.cms

インドの不動産取引は、権利関係の確定や必要な許認可に関する手続きが本当に不透明とされています。たとえばこの特集記事によると、建設業者は土地開発について57もの許認可手続きが必要だとか。。企業の方と話していても、インドでは、土地の取得に苦労されているという話はよく聞きます。

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