blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

カテゴリ:公正取引

Competition Commission to look into Diageo, USL merger

過去記事
合弁契約中のPut optionの有効性、SEBIが争う

先日、上記のM&AがSEBIから注目されていると書きましたが、どうやら独占禁止法を扱うCCI(Competition Commission of India)も同じくこの件を注視しているようです。そもそもM&Aに他国のような独禁法の観点からの審査が始まったのが2011年6月。そこから100件ほどの買収に関する審査が行われており、平均して3週間程度で承認が下りているそうです。法令上は、当事者による申請から210日を経過すると自動的に承認が下りたものと見なされるようになっていますが、それよりはかなり前倒しで案件が処理できているようです。

実態として、買収者のDiageoのシェアは3%ほど。USL自体のシェアが大きいので、足すと60%に近づくようですが、専門家はおそらくCCIの審査は通過するだろうと見込んでいますが、そのプロセスでクロージングが遅れていることは確かなようですので、ビジネス上の影響は否定できません。ある程度の件数の積み重ねによりCCIの実務は予見可能にはなっていますが、大型M&Aの際には日本企業も注意が必要です。

なお、本件が注目を集めているのは、売主のUB groupのPomoterのMallyaが現在経営悪化で航空免許を停止されているKingfisherを保有しており、こちらに売却代金を当てるのではないかと見込まれているからのようです。Kingfisherの件はまた後日取り上げたいと思います。



DLF case: CCI seeks changes in builder-buyer agreement

インドの独禁法、M&Aの文脈でも一定規模を超えるものはその審査をスケジュールに織り込んでいくことが重要となりますが、今回は、不公正な取引が問題となり、私人間の契約内容が修正されようとしている、という話題です。日本法でも同様の議論があるかと思いますが、インドの独禁法は、インドの公取が、契約内容を修正する命令を発する権限を持つことが明文化されています。

デリー近郊のグルガオンでのアパートの開発に関し、ディベロッパーであるDLF Ltdと各買主が結んだ契約について、前者が支配的な地位を利用して一方的で不公正な契約条項を合意している、と判断されました(別途6.3億ルピーの罰金も課されています)。

命令文は、104ページにも及ぶようですが、記事によるとたとえば以下の条項が是正命令の対象となっています。ちょっとこれだけ読んだだけでは正確な内容がわからないのですかね。。
  • 当初の合意された建設契約を超えてディベロッパー側が追加工事をするのを認める条項は、これを認めない
  • 買主に販売されなかったOpen spaceのディベロッパー側の単独所有権を認める条項を、所有者間の行動所有権の対象とすべきとする
  • 契約違反があった場合の補償条項を削除する
  • 買主による支払いは、建設の完成の程度に応じて段階に行われるようにする
  • ディベロッパーが組織した組合への買主の加入を定める条項を削除する
独禁法自体、できて10年の比較的新しい法律であり、インド人的には独禁法の趣旨(公正な市場を確保し、独占的または強調的で不公正な行動を規制する)なんて、きっとほとんど理解していないんだろうな、、と思います。

Foreign Investment Promotion Board to vet pharma M&As involving FDI

ここ数ヶ月、規制緩和で経済活性化、ということで外資規制を緩めていますが、どうやら分野によっては逆の動きも起きています。

製薬業界への外資規制は現在のところ存在せず、100%まで外国企業が投資できるのですが、この結果、ここ数年でインド国内のいくつかの大規模製薬会社が買収されました(たとえば、2008年の第一三共によるRanbaxyの買収など)。その結果、インド国内で流通していた安価な薬の価格が上がってしまい、薬を必要としている貧しい人たちが入手できなくなってしまいました。インド人の健康維持の観点から、これではまずい、という議論が進んでいます。

今のところ、このような外資を管理する方法として、外国直接投資(FDI)の上限を現在の100%から49%に引き下げること(これにより政府がどのような外資企業が入ってきたか、情報を把握できるようになる)、それとともに、日本で言うところの独占禁止法を改正して薬の価格の引き上げを制限することを検討しているようです。ただ、このような特定の業界だけを狙った競争法の改正が可能なのか、今は検討中とのこと。

このようなFDIの上限を下げる動きというのは、インドでは、各業界を通じて初めてです。インド人に聞いたところ、この議論自体、ここ2年位続いているそうですが、安価な薬を国民が入手できるという目的はもっともなものだと思いますので、おそらくこの規制自体は実現されるのではないかと思います。
業種によるのだと思いますが、このように、経済成長とは別の観点から、規制開放の流れとは逆行する動きもありうるという点は、特に関連する業界の方は留意しておくべきといえます。

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