blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

カテゴリ: 日系企業

Hitachi, Panasonic to make India base to access Africa, Middle East; plan Rs 5,700-cr investments

昨今、日本の根幹産業の一つであった電化製品メーカーが軒並み赤字、そして相次ぐリストラといった状況で、暗澹たる雰囲気があると思いますが、こちらインドでは逆に、ここぞとばかりに一気に投資額をつみまして、各社シェア獲得に必死です。

その中でも、日立は、102年という企業の歴史の中で、初めて日本国外で取締役会を開催したのが、なんとデリーとのこと。もちろん、シンボリックな意味が強いのだとは思いますが、長い歴史を持つ老舗企業が新しいことにチャレンジしていく、強い決意の表れだともいえます。今後4年で470億ルピーをつぎ込んで5つの工場を建設し、2015-16年には、2000億ルピーの売り上げを目指します。さらに、米国、欧州、中国、東南アジアと並んで、インドにも地域統括本部を置きます。労働者も2015年前に倍増し、13000名に。ちなみに、以下が昨日のニュースリリースです。

日立グループインド地域戦略2015について

同じく、Panasonicも、100億ルピーを投資し、2014-15年に2000億ルピーの売り上げ目標とか。2018年には、なんとインド国内でトップのシェアを目指します。エネルギー関係の製品とLED電球が主力商品となります。
記事ではほかにも、ソニー、キャノン、シャープの情報も挙げられています。
正直インドで暮らしていて、家電量販店で見かけるのは、カメラを除いて今のところ韓国勢です。質の高さしていた日本企業にとっては、根本的な発想の転換が必要なところですが、大いに期待したいです。

そして、記事には、日立もパナソニックも、インドを基点に中東やアフリカにも展開していきたいとのこと。こちらにいると、このような、インドを拠点としたさらに西への展開についてどう考えるか、という意見を耳にすることが少なくないのですが、日本にいる方はまだぴんと来ないかもしれません。
ただ、国際社会を前提とする限り、もはやこの流れは必然で、日本一国の力では止まりません。今のところアフリカに展開している弁護士までは聞いたことがありませんが、おそらく後10年もすれば、当然カバーすべきエリアの一つになるのではないかと思っています。


Maruti issues grim outlook for auto industry

今日は純粋に数字の話ですが、インド最大の自動車メーカー、マルチsuzukiの今後の見通しは、かなり悲観的だという報道です。

今までのような二桁の成長率を維持するのは到底無理、今後3年間は一桁成長にとどまる(5%程度にとどまるのでは、、という声も)、2015-16年までに500万台の乗用車の販売を目標にしていたのも達成は難しいため400万台に切り下げ、さらにマーケットシェアも、50%の目標から現在の40%を死守、というところで、どれもかなり厳しい見通し。
これについては、政府の成長政策に対する意思が見られないのが最大の原因だとしています。 インド経済全体の成長も、1年前が6.7%のGDP成長率だったのが、この9月末四半期は5.3%。。もちろん、suzukiについては、この夏の労働問題に起因する暴力的な事件の影響も大きかったそうです。現在のマーケットシェアは実は38%台になっているそう。 

成長戦略としては、今までのハリヤナ州の工場に加え、日系企業が注目するグジャラート州での新工場設置があります。1600億ルピーをかけて年間120万台の生産能力を獲得する計画ですが、実はこれも需要の伸び次第では、、と言われています。

とまあ、悲観的な話が続きましたが、これをどう評価するかは意見が分かれるかと。政治の方針が定まらないのは選挙のタイミングもありますが、ここ数年で一気に経済成長してそれに伴い顕在化した問題に対処している部分が大きいと思います。中国に比べて減速したとも言われますが、一般論として、民主的な社会の成長としては当然の反応であって、今は問題解決に一つ一つ、取り組むべき時期かなあと感じます。

http://economictimes.indiatimes.com/news/international-business/suzuki-to-file-for-bankruptcy-in-us-to-focus-on-motorcycles/articleshow/17111084.cms

国際ニュース欄にあったので、日本でも普通に報道されているかとは思いますが、やはりスズキのインドへの影響力は絶大なので今日はこの記事を。
1985年以降続けていたアメリカでの新車販売を停止するため、現地の法人について倒産法に基づく手続きを裁判所に申し立てたとのこと。 アジアの自動車メーカーの中でもアメリカマーケットにおけるシェアは最小で、わずか0.2%だったようです(その上は、三菱自動車で、現在は0.7%だったのが、直近では0.0%まで落ち込み)。

当然の経営判断とは思いますが、こういった動きは、ほかの業界にも波及しそうですね。とりあえず、アメリカ、という発想はもはや古く、自社の得意なマーケットにフォーカスすべきと。スズキの場合、上記の数字を見る限り、むしろ遅すぎた感もありますね。。確かに、私もアメリカに行った際の印象として、彼らは体も大きく、大きいものが大好きなので、車も当然SUVが好きで、日本人のコンパクトカーというのは受けないだろうな、と思いました。株式会社である以上、リスクをとって新しいマーケットに挑戦するのは当然ですが、引き際も同じく重要ですね。

http://economictimes.indiatimes.com/news/news-by-industry/auto/automobiles/maruti-suzukis-manesar-workers-plan-hunger-strike-rally/articleshow/17107581.cms

今年7月のスズキの労働者の暴動は記憶に新しいところですが、新しい動きです。報道によれば、暴動のあと、一部の元従業員が暴動について訴追されていますが、これが恣意的であるとの主張で、 548名の解雇された従業員の復職と、この暴動により投獄されている従業員の釈放を求めています。ただし、今回の方法は平和的で、政府にハンガーストの通知を提出し、手続きにのっとった労働者としての権利要求、という位置づけのようです。ほかの労組もこの労組の動きに協調している様子。

7月の暴動では大きな被害を出したマネサール工場ですが、現時点では、最大1800台/1日の生産台数のところ、1600台まで回復していたところ(すでに短期労働者なしでの操業ができていたようです)での、今回の再度の労働者の抵抗。平和的な手法がとられていることから、かえって長引くことも懸念されます。

一方で、日系企業のインド進出数は1000社を超えたという報道もあります。労務管理は大きな問題点ではあるものの、日系企業のインド進出の流れは、止まりそうもありません。

http://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/Nissan-dealers-refuse-to-take-vehicles/articleshow/17014454.cms

外出の移動中など、スズキ、トヨタ、ホンダに加え、ちらほらですが日産車も走っているなという印象を持っていたのですが、その日産が販売代理店との間でトラブルを抱えているそうです。代理店側が車両の仕入れを一時停止し、日産のマスターフランチャイジーである、Hover Automotive India (HAI)とは別に、代理店が独自に組織を作って、日産側との競技が行われる予定とのこと。どうやら背景にはSales Taxの扱いや国内販売より海外輸出に力を入れる日産との方針のずれなどがあるようです。

記事にも詳細はありませんが、どうやらHAIが両者の間を取り持つ機能を果たしていないようです。インドでの販売網を築く方法として、インド既存のサプライチェーンを利用することは合理的かと思いますが、パートナーとして適切な相手か、双方がWin Winの形にできるか、という点をよく詰めておく必要がありそうです。

ホンダ
http://mobileet.timesofindia.com/mobile.aspx?article=yes&pageid=1&sectid=edid=&edlabel=ETD&mydateHid=16-10-2012&pubname=Economic+Times+-+Delhi&edname=&articleid=Ar00101&publabel=ET

ソニー
http://mobileet.timesofindia.com/mobile.aspx?article=yes&pageid=4&sectid=edid=&edlabel=ETM&mydateHid=16-10-2012&pubname=Economic+Times+-+Mumbai&edname=&articleid=Ar00406&publabel=ET

三井物産
http://economictimes.indiatimes.com/news/news-by-industry/healthcare/biotech/pharmaceuticals/mitsui-in-talks-to-invest-rs-250-crore-in-claris/articleshow/16828682.cms

今日は手抜きですみませんが、日本企業三社を今朝の新聞で見つけたので。ますます日本企業名を見つけられるようになるといいですね。

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