Non-compete fees can be treated as deductible expense: Tribunal

 「創業家株主の非競業に関する報酬」って何のこと?という感じかと思いますので、順を追って説明します。

インド法にはPromoterという概念があり、おおむね日本の創業家株主(会社を作った社長さん)と理解していただければいいのですが、このPromoterのAさんが第三者Bさんに会社X社の株式を売却する場面を考えてください。通常、日本の実務だとこういう場合、Aさんに対して数年間の競業避止義務を課して、取引後、しばらくはX社と同じビジネスを、ほかの会社を新しく作ったり、他の人と組んだりして、やらないでね、というアレンジをします。こうしないと、Bとしては、X社を買ってそのノウハウを使って利益を上げようと思っていた買収の目的が、実現できなくなってしまうためです。

ただ、インドでは、契約終了後の競業避止義務は、ビジネスを不当に制限するものとして、基本的に認められていません(日本でもあまり長い競業避止義務は同じ理由で認められないと考えられています)。これだと、Bさんが困ってしまうのですが、あくまで認められないのは、契約「終了後」の競業避止義務であり、何らかの契約さえ存在していればその契約「期間中」は競業避止義務を課すことができるので、ここで、一つの工夫をします。 株の売買に伴って、BさんがAさんに一定の報酬を払って、「特定のビジネスをしない」という契約を結ぶのです。これにより、Bさんの目的が達成されます。(なお、これだとBさんが余計に経済的に負担しないといけないように見えますが、その分、株式の売買代金を安くするなどすれば、トータルの金額は同じです)

で、この支払いを、Non-compete fee(無理矢理日本語にしたのが、「創業家株主の非競業に関する報酬」)と呼ぶのですが、従前の判例では、これを税務上、設備投資の仲間として整理していました。この点が今回の判例では異なる結論になり、そうではなくて費用計上していいよ、ということになりました。すなわち、その分Bさん側の課税対象になる所得が減るので、タックスメリットがあることになります。

記事によると、過去設備投資と扱っていた事案と比較すると、競業避止の合意が買収の中核をなしていなかったこと、より具体的にいうと、この競業避止の合意が株式譲渡をクロージングするための前提条件になっていなかったこと、また、報酬の額がRBI(インドの中央銀行)の承認を受けた公正な価額であったことなどが、判断を分けたとのこと。

これは正確に理解するにはもう少し勉強が必要そうです。ややマニアックなな話ですが、実務的な影響は大きいと思われます。