blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

2012年12月

2012年10月に開始したこのブログも早3ヶ月。年末ということもあり、少し趣向を変えて、インドに来てから気づいたことを雑多に書こうと思います。自分の専門分野でないことも感覚的に書いていますので、実際違うということももちろんあろうかと思いますが、一つの意見としてご参考までに。
 
1.インドに関する正確な情報を得ることは難しい
このブログを始めた一つのきっかけでもありますが、一部の有料の情報ソースを除いて、インドの実態に関する日本語の情報を得ることはなかなか容易ではありません。
(インドの新聞記事からブログを書いているくせにこんなこと言っては元も子もないのですが、)インドの新聞自体、どうも商業主義の傾向が強いのか、正確な情報ではないこともしばしばあるようで、ある教養のあるインド人と話していたところ、新聞の記事はあまり信じていない、とのことでした。とはいえ、全く日本語の情報がない状態に比べたら、少しでもとっかかりになる情報はあった方がよいかと思いますので、このブログも、来年も続けていきたいと思っています。

2.インド投資は数年単位ではうまくいかない(成功するには一日でも早く進出すべき)
こちらにきて日系企業の方と直接お話しさせていただく機会も多いのですが、大多数の方が、思うようにビジネスがうまくいっておらず、数年たってもまだまだ赤字です、、というお話がほとんどです。海外進出の一般論として、新しいマーケットで最初苦労するのは当然なんでしょうが、12億とも言われるマーケット規模に対する期待感がどうしても大きいため、そのギャップ感が苦労をより大きく感じさせているのかもしれません。
一方、インド市場で存在感を持っている数少ない業界である自動車産業は、10年、20年以上前から進出して独自の苦労をされた結果が今、現在のシェアなのだろうと思っています。私自身、もう1、2年でも早くインドに来ていたら、もっとうまく仕事ができているのではないか、、と思うことも多いのですが、今更それを言っても仕方ありません。
将来的なインド進出を検討されている企業の方に言えることは、日本で限られた範囲で情報収集をするのであれば、一日でも早く自社の人材を現地に送ってビジネスの可能性を探る方が、何倍も有益だ、ということです。(なお、時間を買うという意味でのM&Aは非常に有益な手段ですが、既存のインド法人を日系企業が買収する際には、日本の感覚からすれば相当なリーガルリスクを取っている、という意識を忘れてはいけないと思います)
今のところ、感覚的には、インド投資は「宝くじ」くらいの期待値でしょうか。大半はお金の無駄かもしれません、でも、宝くじを買わなければ絶対に当たりません。

3.実際上問題になるルールの多くが連邦ではなく州のルールである
インド憲法上、連邦政府の管轄事項、州政府の管轄事項、両方の共同管轄事項の3つが規定されていますが、実際上、州が権限を持っていることが思った以上に多く、インド国内の複数の場所でビジネスを展開する場合、それぞれ現地に応じたルールを把握する必要があります。たとえば、外資規制、会社法、証券法制なんかは連邦法なのですが、労働法、不動産関係、各種ビジネスに必要なライセンスなどビジネスを進める上でより具体的に問題になるルールは州法マターであることが多いです。そして、こういった情報に日本人がアクセスすることは容易ではありません。このあたりは、ビジネス上の必要経費と割り切りとして、コストを払ってでも、信頼できるインドのコンサル、弁護士、会計士などのプロを雇って進めることがマストだと思われます。

4.立法により予定されている国の姿と、実際の国の姿は大きく乖離している
一般論として、インドは法治国家である、といわれてますが、何を持ってインドが法治国家なのかは大いに疑問です。成文法がたくさんあることを持って十分とするならば、確かにそうかもしれません。ただ、重要な成文法が時代遅れだったり、法令相互の関係がよくわからなかったり、特に政令・府令レベルになると条文の作りがいまいちだったりします。また、ご案内の通り、法の実際の適用・執行を見れば、とうてい法治主義が行き届いている国家と言えるレベルとは思えません。このあたりは、行政・司法のインフラが国の成長スピードに追いついていないのが原因かもしれません。また創業株主たる地位、会社役員たる地位などを不正に利用し、会社、証券市場など通じて不正な利益が社会の一部に集まっている、という実態もまだまだ是正されていないように思います。
いずれにせよ、立法がどうなっているかを把握するだけでは、この国の実態を理解するには、全く不十分と言わざるを得ません。

5.インド人は過去をあまり気にしない、未来を見ている
日本人の感覚からすると、過去、一定のルールでやってきたことを何かの理由で変えなければならないとき、常に「継続性」の議論が出てきます。今、ここでルールを変えると、過去の一連の出来事も実は正しくなかったのではないか、という問題が起こるから、できるだけルールを変えたくない、、というものです。(日本人の真面目さが原因なのでしょうか)
一方、インド人はあまりそういった関心はないようです。60年前にできた憲法だって、100回近く改正していますし(そもそも長文で、かなり細かい内容を規定していることにも原因がありますが)、ある人は、朝令暮改ではな朝令「朝」改の感覚でルールが変わると言っていました。改正したルールの遡及適用、なんて日本ではありえないようなことも、平気で議論になったりします。また、企業買収のプライシングについても、インド人は(過去の財務諸表はともかく)バラ色の事業計画に基づいて売却価格を提示してくるようで、その当たりも日本人とは全然感覚が異なります。(最後の点は、既に成熟した国家と、これから成長していく国家の間にある、一般的な違いなのかもしれません。)

6.インドにはお金がない、インフラ整備、雇用確保は外資頼みである
ボーダフォン事件などのインド税務政策もそうですし、FDI規制の解放もそうですが、インド国内には国の成長に必要なインフラを整備するに十分なお金は全くありません。国の大きさ、人口の多さに比べて、やはり財政的な基盤は貧弱過ぎるのだと思います。その意味で、外資からお金を出してもらえるような政策になりますし、逆にインドへ進出する企業としては、そのような費用(税務リスクを含む)も込みで投資総額を判断し、それでも見合うリターンがあるかを判断していくことになるのだと思います。
もう一点、インドにいて感じることは、やはり製造業が著しく貧弱なんだと思います。ショッピングモールやホテルでも、手持ちぶさたな従業員がたくさんいます。第三次産業でむりに雇用を作っていますが、まさに無理矢理で、本来的には、もっと第二次産業が発達しないと国を維持できないはずです。その意味で、日本が存在感を示せる可能性は、無限に広がっていると感じます。

7.インドはまだまだ×2、日本と比べたら発展途上の社会である
4.や6.の内容とも重複しますが、物質的にも精神的にも、まだまだインドは発展途上の国家だと思います。公務員に賄賂を渡すのは当たり前、男尊女卑の考えは当たり前(直近で話題となっているレイプ事件も然り)、禁止されたはずのカーストに基づく差別も実際は残っている、英語がビジネスで通じると言っても国全体で見たら教育水準は著しく低い、農村部を中心に貧困問題が解消されていない、などなど、挙げたらきりがありません。その意味で、日本の商品・サービスをこの国で提供するには、相当大きな価値観の差異を前提とした、商品開発、マーケティングなどが必要なのかな、というのが素人意見です。
なお、いやこれがインドなんだ、こういったインドの時間の流れ方が好きだ、このままの姿であってほしい、という意見も一理あろうかと思います。ただ、そんな風に思っているインド人がどれくらいいるのかは不明で、ネットで世界中の先進国の情報が入ってくる現在、やはりこれらの国のように(少なくとも物質的には)豊かな生活を送りたい、というのが人間の心理なのかな、、という気がします。



New committee to determine caste beneficiaries

日本企業としては、インド市場の成長性ばかりに目が行きがちですが、インドという国全体を客観的に見ると、まだまだとても貧しい国だと思います。

インドのGDPの3.5%、3兆ルピーが総額でこのような補助金などに当てられているようですが、州ごとにルールや基準が異なるため、今まで使っていたBelow poverty lineの基準とは別の基準を作り、異なる福利政策からもれてしまう貧困層がいなくなるようにするため、新しい委員会を設置するそうです。来年3月末をめどにレポートを提出する予定とか。

連邦制、中でも州の力が強い制度をとっていると、国内全土で平等に扱うべき政策があったときにどうしても平仄がとりにくいのだと思います。このあたりに不満があると、おそらく2014年に予定される総選挙に悪影響がある、ということで現在の政府がそれまでに制度の見直しをしたい、というところでしょうか。。

The India bar exam: a regulator’s rocky road

インドに司法試験ができたのは実はかなり最近の話で、それ以前は、いわゆる法学部を卒業して登録をすれば、弁護士業務ができる、ということになっていました。それが、2011年3月からAll India Bar Examinationという司法試験を導入し、今月9日には4回目の試験が実施されました。

ただ、そこはインドなので、当然スムーズに行くはずもありません。試験時間が遅れる、試験会場が非常に不便な場所にある、受験生が少なかったため会場設置が見送られた場所で受験生が怒る、試験時間中に受験生の間で回答が回される、予定されていた試験日程から試験を補助する民間事業者の選定にてこずり日程が二点、三転する、受験料が値上げされた、、などなど、まだまだ問題が多いようです。

極めつけは、司法試験委員会が司法試験を課していいのか、という点が争われたとのこと。そもそもインドの弁護士法に当たるThe Advovate Act, 1961は、一定の法学位をとった学生は裁判所にて法律実務を行うために州の弁護士会に登録できる、と定めています。一方、司法試験委員会がこの登録に追加的な要件(=司法試験の合格)を課していいということは法律に書いてありません。そこで、司法試験委員会は、これは「登録に先立つ要件」ではなく、「登録後」司法試験を受けずに裁判所にたつことだけを禁止するのだから、OKなんだ、と主張したとか。。
っていうか、司法試験作るときに、こんなこと誰も気づかなかったのでしょうか。不思議でしかたありません。

本屋で問題集が売っていたので見てみましたが、5択のマークシートで、ある法律用語の定義は何か、とか、ある内容を規定する法律の条文番号は何か、とかいう問題も含まれていました。。この問題集が駄目なものだっただけかもしれませんが、、、、うーん…という感じです。


Ikea’s meatballs may be on its Indian menu after all
Hungry for FDI in retail, Govt likely to accept Ikea's global model

前回の記事(IKEAの製品、実は半分しか承認されておらず。家具以外はNG?

インド最規模の小売業への外資参入であるIKEA。先日は、当初の予定の半分の商品の販売しか政府からOKがもらえなかったとお伝えしましたが、ここに来て、IKEA側が盛り返してきました。
単に家具だけでなく、それ以外の生活雑貨などの販売や店舗内でのカフェの運営すると言う業態について、これ全体がIKEAが世界44カ国で展開しているビジネスもであるである!ということを政府関係者に対してプレゼンテーションをしました。これを受けて、商工省の大臣も、そりゃそうだよね、IKEAの意向に沿った形で承認できるよう、手続きを進めたい、という意向を表明したそうです。

一個目の記事にもあるように、元はと言えば、この問題は、FDI規制にある、複数ブランド小売と単一ブランド小売って、そもそも何?という定義が存在しないことに端を発しているようです。政府としては、当初単一ブランド小売とは、そんなたくさんの種類の商品を売ることを想定していなかった、であるとか、単一ブランド小売は食品を売ることを想定していないからレストランはNGであるとか言っていたようです。ただ、IKEAとしては、世界中でこの形でやってるし、別にぽつんとレストランだけを作って地元のレストランと競合しようという意図もないですから、まあIKEA側の言っているとおりと。

そもそも今年9月の単数ブランド小売規制の緩和(ブランドを自身が保有していなくてもライセンスを受けていればOK、地元業者から30%以上の仕入れを義務から努力義務に緩和)も、IKEAからの強い要求を受けてのものであり、それは当然、19億ドルと言われる投資額がインドに落ちるという見込みがあったからこそともいえるので、IKEA側としては、結局認めてくれるんだったら、もっと早く進めてよ、、ということかもしれません。

とはいえ、今回のIKEAが先例となれば、単数ブランド小売の解釈が事実上広がったともいえるので、この部分は類似の業態の企業にとってはチャンスだと思います。

Reliance consumers won’t have to pay more for power
MERC order on cross-subsidy cess upheld
 
リライアンスもタタもインドの有名な財閥企業グループですが、ムンバイの電力供給事業について両者が争っていた事案について、先週21日、リライアンス側の主張を認める判決が出ました。

経緯としては、まず、もともとリライアンスが電力供給事業をしていたムンバイにおいて、2008年の判決後、タタも電力供給事業ができるようになりました。タタは、リライアンスの電線を借り、その対価として電線の使用量のようなもの(Wheel in charge)を払うことになりました。しかし、タタが主として電力を供給したのは、鉄道、石油精製業者、大規模住宅や商業施設などのハイエンドの顧客で、スラムなどに住んでいるローエンドの顧客のために積極的には電線の敷設をしていませんでした。そして、タタの電力の方が安かったので、リライアンスと契約していたハイエンドの顧客はリライアンスの電線を使いつつ、タタから電力を買うよう契約を切り替えたのです(「切替ユーザー」)。その結果、リライアンスの方にはローエンドの顧客がたくさん残りました(280万人のうち、230万人がローエンド)。
ここで問題になったのが、Cross subsidy(利用者間での補助金、とでも訳せましょうか)です。Cross subsidyとは、一定規模以上のハイエンドの顧客が払っている、ローエンドの顧客よりも高い電力使用量のことを言います。(低所得の電力利用者を助ける趣旨かと思われます)そして、切替ユーザーは、事実上リライアンスの電線を使いつつ、契約がタタになったら、リライアンスのローエンドの顧客のためにCross subsidyを負担しなくてもよくなったのです。
これに対して、リライアンスがこれはいかん!ということでタタに対して提起したのが本件訴訟です。一審はリライアンスが勝訴、高裁もこれを支持し、結論としては、切替ユーザーもCross subsidyを負担すべきであるとしました。そうしないと、リライアンス側のローエンドの顧客の電力使用量を値上げせざるを得ないためです。また、タタは、付与されたライセンスにしたがって、きちんと自分の電線を敷設するように、ということも判決は示しています。
ただ、切替ユーザーのうちの有力事業者、ムンバイ国際空港の運営会社とホテル・レストラン協会は、直ちに控訴しており、最終決定は最高裁に持ち越される、とのことです。

一時帰国しており中断しましたが、またこつこつ続けていきたいと思います。

Delhi gang rape: Anger rises in city as victim sinks

日曜夜に、インドの首都、デリー南部で非常に悲惨な強姦事件がありました。記事によれば、被害者は23歳の女性、今も危篤状態が続いています。声を出せないと思われる被害者が「お母さん、私は生きたい」と紙に書いたそうです

これを受け、昨日、デリー中心部で大学生が中心になり、女性の安全な生活が脅かされているとしてデモが起こりました。 (テレビでニュースを見た限り、女性だけでなくたくさんの男性も参加していました)犯罪行為自体に対する怒り、強姦を規制する刑事法の不十分さや厳罰化の声、警察の捜査・パトロール活動の不十分さに対する不満、非常に時間がかかる司法手続きの問題点など、様々な問題点が指摘されているところです。
これを受けてデリーでの強姦を迅速に・専属的に扱う裁判所の設置などの動きがとられようとしていますが、まずは、このような犯罪を起こさないことが大切。自衛の方法や犯罪者側の心理などを扱う記事も続いています。

また、多数の女性を雇用する企業側としても、如何に女性の安全を確保するかが非常に大きな議論となっています。

Delhi gang rape shakes up corporate India; companies take stock of women employees' safety

仮に通勤途中に従業員が犯罪行為の被害者となっても、それが故意犯である強姦罪であれば、日本の感覚としては企業側に法的責任まで認められることは通常はなさそうですが、そうは言っても、多くの労働者を雇う企業としては、社会的責任として、何らかの対応をとらないわけには行かない、というところでしょうか。

Finally, RBI gets power to issue new bank licences
Lok Sabha passes Companies Bill
Lok Sabha passes companies, banking Bills
Corporates set to open bank accounts

昨夜かなり遅くまで国会審議が続いたようですが、 銀行法と会社法という重要法案が二つ下院で可決されましたので、今日はそのニュースを。今後は、上院での審議に移ることになると思われます。

[銀行法] ※過去記事 銀行法改正案、野党との激しい攻防続く
  • RBI(インドの中央銀行)の権限強化:銀行を持つ事業集団の帳簿を検査できる、役員の氏名ができる、一定割合の銀行株式のまとまった取引に拒否権を行使できる(過去、実際にこのような問題が起き、RBIがどこまでの権限を行使できるのか議論になったため) →以上の改正が前提条件となって、将来的には、RBIが新しい種類の銀行免許を発行し、NBFC(銀行ではない金融機関)のL&Tや財閥系のTataなど、銀行免許に関心を持つ民間企業の参入を認めるようにする(顧客には選択肢が増え、より広いエリアがカバーされるようになる、はず)
  • 銀行に対する投資家の持分割合の増加:民間の銀行は現在の10%から26%に、国有銀行は1%から10%に、それぞれ上限を増加(海外投資家の参入を促し銀行の資本を強化する)
  • CCI(日本で言う公正取引委員会)の関与:グループ内再編などを除き、銀行であってもAnti competitionのルールに従うことを明確化
  • 野党からの反対を受け、銀行の商品先物取引への参入を認める条項(Forward Market Contract clause)は削除
※街中を車で走っていると、やたらめったら銀行があってつぶれてしまうんではないか、、と懸念しますが、実はインドには200の銀行(いくつかの世界規模の巨大銀行を含む)が必要、言われているようです。(中国の3つの銀行が世界の銀行トップ20に入っているが、インドはゼロ)

[会社法] ※過去記事 会社法改正案、1万社を超えるCSR費用の負担と税務上の優遇
  • 時代遅れの条項を改めるとともに(今の会社法は1956年のものがベース)、コーポレートガバナンスを強化する:年間利益が5000万ルピーを超える会社は利益の2%をCSRに費やし、これをしない場合には説明義務が生じる(CSRに関する規定を法で義務付けるのはインドが初めてとか)、一定規模の会社には、女性の役員を1名取締役会に含めることを義務付ける、役員報酬は純利益の5%を上限とする、5年ごとに監査機関のローテーションを義務付ける、会社を使った詐欺的な行為を取り締まる機関(Serious Fraud Investigation Office)により強い権限を与える、など
  • 株主、投資家の権利の強化:クラスアクション制度の導入
  • 労働者保護の強化:清算する会社には2年分の給与を従業員に支払うことを義務付ける、従業員の平均給与を公表する
一見すると、むむむ、、、という内容もあり、細かく内容を確認する必要がありますが、取り急ぎ各紙から拾った概要まで。
なお、改正が議論されていた保険法や土地収用関連の改正案は、時間の関係上今国会での成立は難しいのでは、という見方がされています。

New Japan PM good news for India

日本はこの週末、選挙の話題で持ちきりでしたが、インドでは自民党の勝利をこのように見ているようです。

  • 安倍自民党総裁は、親印派である。彼の祖父の岸首相は戦後初めてインドを訪問した首相であり、安倍氏自身、2007年にインドの国会に向けたスピーチをしている(インド国会における安倍総理大臣演説
  • 自民党の勝利で福島第一原発の事故という亡霊を退散させることができる(原発容認派が132→346に増加した。衆院選「脱原発」敗北、容認派が逆転
  • インド政府は、日本からの投資をさらに促進することを期待している。

2000年以降の日本発のインドへのFDIは1286億ドル、152,280人の雇用を日系企業が創出、2010-11年の1年だけで448件の日本のFDIのプロジェクトが行われた、と数字の上では日本からインドへ、という流れは相当のインパクトを持っています。

日本人の多数派の印象として、消去法でやむを得ず自民党という部分はあったかもしれません。国内の問題は山積みで、どれも解決は容易ではないでしょう。ただ、総選挙という憲法で定められた手続きを経て選ばれた以上、選ばれた自民党、安倍総裁には、大いに期待したいです。インドへの国を挙げての進出を日本の成長戦略の一つに位置づけてもらいたいところです。

3 US entities lobbied on tax plan
Wal-Mart just one player in the giant US lobbying game

この話題ばかりになってしまいますが、引き続き関心が高いようなので。
Walmartは2008年以降、様々なロビイング活動に2500万ドルを払っていた、というのは前から報道されていましたが(Walmartの米国でのLobbying費用、使途は如何に?)、当然、ほかのインド進出を狙う米国企業・団体も相当の費用を使ってたとの報道。記事に挙がっている一例です。
  • ロビイング団体のFinancial Services Forum, Business Roundtalbe, Financial Executives International:今年提出された税金・予算関係法案に関する活動
  • Boing, AT&T, Starbacks, Lockheed Martin, Eli Lilly, GE:「特定のロビイング事項」(インドにおける市場開放やサポート)
  • Pfizer:ジェネリックの価格設定についての最高裁決定
  • Prudencial Financial:インドの金融市場へのアクセスやエクイティの所有について
アメリカには、これらのロビイング活動について、登録をして四半期ごとに開示をさせるという規制がありますが、インドにはありません。で、Infomation & Broadcastingの大臣は、これを受けて、アメリカのような仕組みをインドも導入すべきでは、ということを個人的な意見として、言っているようです。

これを見て思ったことは、こんなふうにやってるから、とりあえず立法案だけ、そして実際には適用されていない法律だけ、どんどんできるんだろうな、この国は、、ということです。
たとえば、ここ数年で贈賄防止関係の法案自体は、10くらい国会にかかっているそうですが、まだどれも国会を通っていません。はたから見てると、今ある法律をきちんと運用することの方が10倍意味がある気がするのですが。。。

India and Pakistan seal accord to ease visa restrictions

インドの西側の国、パキスタン。歴史的にはイギリスの統治後、ムスリムがたくさん住んでいた地域がインドとともに分離独立、 ただしインドとの間で何回か戦争をしていて、2008年にはムンバイでテロも起きたし、当然仲が悪いと思っていました。

それが実は、両国間のビザ要件を緩和し、人の行き来をより自由にしようということです。
  • 両国でそれぞれ訪れることができる地域を増やす
  • ビザは2年間有効なものを65歳以上の人、両国間で結婚した人、12歳未満の子供に認める
  • ビジネスビザで来た人で収入が500万パキスタンルピー以上ある人は、Police reporting(FRROに行くことでしょうか?)も不要
  • 一定の要件でVisa on Arrival(当該国についてからビザを申請、取得すること)もOK
  • 中規模の団体旅行向けのビザも発行
と、結構オンパレードです。(過去の経緯を把握していないのですが、元々が相当制限されていたんでしょうね。。)当然記事でも、和平に向けた歴史的な前進、という形で表現されています。
 
インドがでかすぎてあまり気づきませんが、実は、パキスタンって人口で言えば1億8000万人で世界第6位(中、印、米、ブラジル、インドネシアに次ぐ。日本は10位)、GSが言うところのNext 11というのにも含まれている成長期大国です。聞くところによれば、インドで日系企業が直面している課題が実はあまりないのが、パキスタン、、ということだそうです。パキスタンの法律とか、全く知りませんが、先を見据えると需要があるのかもしれません。

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