blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

Reliance consumers won’t have to pay more for power
MERC order on cross-subsidy cess upheld
 
リライアンスもタタもインドの有名な財閥企業グループですが、ムンバイの電力供給事業について両者が争っていた事案について、先週21日、リライアンス側の主張を認める判決が出ました。

経緯としては、まず、もともとリライアンスが電力供給事業をしていたムンバイにおいて、2008年の判決後、タタも電力供給事業ができるようになりました。タタは、リライアンスの電線を借り、その対価として電線の使用量のようなもの(Wheel in charge)を払うことになりました。しかし、タタが主として電力を供給したのは、鉄道、石油精製業者、大規模住宅や商業施設などのハイエンドの顧客で、スラムなどに住んでいるローエンドの顧客のために積極的には電線の敷設をしていませんでした。そして、タタの電力の方が安かったので、リライアンスと契約していたハイエンドの顧客はリライアンスの電線を使いつつ、タタから電力を買うよう契約を切り替えたのです(「切替ユーザー」)。その結果、リライアンスの方にはローエンドの顧客がたくさん残りました(280万人のうち、230万人がローエンド)。
ここで問題になったのが、Cross subsidy(利用者間での補助金、とでも訳せましょうか)です。Cross subsidyとは、一定規模以上のハイエンドの顧客が払っている、ローエンドの顧客よりも高い電力使用量のことを言います。(低所得の電力利用者を助ける趣旨かと思われます)そして、切替ユーザーは、事実上リライアンスの電線を使いつつ、契約がタタになったら、リライアンスのローエンドの顧客のためにCross subsidyを負担しなくてもよくなったのです。
これに対して、リライアンスがこれはいかん!ということでタタに対して提起したのが本件訴訟です。一審はリライアンスが勝訴、高裁もこれを支持し、結論としては、切替ユーザーもCross subsidyを負担すべきであるとしました。そうしないと、リライアンス側のローエンドの顧客の電力使用量を値上げせざるを得ないためです。また、タタは、付与されたライセンスにしたがって、きちんと自分の電線を敷設するように、ということも判決は示しています。
ただ、切替ユーザーのうちの有力事業者、ムンバイ国際空港の運営会社とホテル・レストラン協会は、直ちに控訴しており、最終決定は最高裁に持ち越される、とのことです。

一時帰国しており中断しましたが、またこつこつ続けていきたいと思います。

Delhi gang rape: Anger rises in city as victim sinks

日曜夜に、インドの首都、デリー南部で非常に悲惨な強姦事件がありました。記事によれば、被害者は23歳の女性、今も危篤状態が続いています。声を出せないと思われる被害者が「お母さん、私は生きたい」と紙に書いたそうです

これを受け、昨日、デリー中心部で大学生が中心になり、女性の安全な生活が脅かされているとしてデモが起こりました。 (テレビでニュースを見た限り、女性だけでなくたくさんの男性も参加していました)犯罪行為自体に対する怒り、強姦を規制する刑事法の不十分さや厳罰化の声、警察の捜査・パトロール活動の不十分さに対する不満、非常に時間がかかる司法手続きの問題点など、様々な問題点が指摘されているところです。
これを受けてデリーでの強姦を迅速に・専属的に扱う裁判所の設置などの動きがとられようとしていますが、まずは、このような犯罪を起こさないことが大切。自衛の方法や犯罪者側の心理などを扱う記事も続いています。

また、多数の女性を雇用する企業側としても、如何に女性の安全を確保するかが非常に大きな議論となっています。

Delhi gang rape shakes up corporate India; companies take stock of women employees' safety

仮に通勤途中に従業員が犯罪行為の被害者となっても、それが故意犯である強姦罪であれば、日本の感覚としては企業側に法的責任まで認められることは通常はなさそうですが、そうは言っても、多くの労働者を雇う企業としては、社会的責任として、何らかの対応をとらないわけには行かない、というところでしょうか。

Finally, RBI gets power to issue new bank licences
Lok Sabha passes Companies Bill
Lok Sabha passes companies, banking Bills
Corporates set to open bank accounts

昨夜かなり遅くまで国会審議が続いたようですが、 銀行法と会社法という重要法案が二つ下院で可決されましたので、今日はそのニュースを。今後は、上院での審議に移ることになると思われます。

[銀行法] ※過去記事 銀行法改正案、野党との激しい攻防続く
  • RBI(インドの中央銀行)の権限強化:銀行を持つ事業集団の帳簿を検査できる、役員の氏名ができる、一定割合の銀行株式のまとまった取引に拒否権を行使できる(過去、実際にこのような問題が起き、RBIがどこまでの権限を行使できるのか議論になったため) →以上の改正が前提条件となって、将来的には、RBIが新しい種類の銀行免許を発行し、NBFC(銀行ではない金融機関)のL&Tや財閥系のTataなど、銀行免許に関心を持つ民間企業の参入を認めるようにする(顧客には選択肢が増え、より広いエリアがカバーされるようになる、はず)
  • 銀行に対する投資家の持分割合の増加:民間の銀行は現在の10%から26%に、国有銀行は1%から10%に、それぞれ上限を増加(海外投資家の参入を促し銀行の資本を強化する)
  • CCI(日本で言う公正取引委員会)の関与:グループ内再編などを除き、銀行であってもAnti competitionのルールに従うことを明確化
  • 野党からの反対を受け、銀行の商品先物取引への参入を認める条項(Forward Market Contract clause)は削除
※街中を車で走っていると、やたらめったら銀行があってつぶれてしまうんではないか、、と懸念しますが、実はインドには200の銀行(いくつかの世界規模の巨大銀行を含む)が必要、言われているようです。(中国の3つの銀行が世界の銀行トップ20に入っているが、インドはゼロ)

[会社法] ※過去記事 会社法改正案、1万社を超えるCSR費用の負担と税務上の優遇
  • 時代遅れの条項を改めるとともに(今の会社法は1956年のものがベース)、コーポレートガバナンスを強化する:年間利益が5000万ルピーを超える会社は利益の2%をCSRに費やし、これをしない場合には説明義務が生じる(CSRに関する規定を法で義務付けるのはインドが初めてとか)、一定規模の会社には、女性の役員を1名取締役会に含めることを義務付ける、役員報酬は純利益の5%を上限とする、5年ごとに監査機関のローテーションを義務付ける、会社を使った詐欺的な行為を取り締まる機関(Serious Fraud Investigation Office)により強い権限を与える、など
  • 株主、投資家の権利の強化:クラスアクション制度の導入
  • 労働者保護の強化:清算する会社には2年分の給与を従業員に支払うことを義務付ける、従業員の平均給与を公表する
一見すると、むむむ、、、という内容もあり、細かく内容を確認する必要がありますが、取り急ぎ各紙から拾った概要まで。
なお、改正が議論されていた保険法や土地収用関連の改正案は、時間の関係上今国会での成立は難しいのでは、という見方がされています。

New Japan PM good news for India

日本はこの週末、選挙の話題で持ちきりでしたが、インドでは自民党の勝利をこのように見ているようです。

  • 安倍自民党総裁は、親印派である。彼の祖父の岸首相は戦後初めてインドを訪問した首相であり、安倍氏自身、2007年にインドの国会に向けたスピーチをしている(インド国会における安倍総理大臣演説
  • 自民党の勝利で福島第一原発の事故という亡霊を退散させることができる(原発容認派が132→346に増加した。衆院選「脱原発」敗北、容認派が逆転
  • インド政府は、日本からの投資をさらに促進することを期待している。

2000年以降の日本発のインドへのFDIは1286億ドル、152,280人の雇用を日系企業が創出、2010-11年の1年だけで448件の日本のFDIのプロジェクトが行われた、と数字の上では日本からインドへ、という流れは相当のインパクトを持っています。

日本人の多数派の印象として、消去法でやむを得ず自民党という部分はあったかもしれません。国内の問題は山積みで、どれも解決は容易ではないでしょう。ただ、総選挙という憲法で定められた手続きを経て選ばれた以上、選ばれた自民党、安倍総裁には、大いに期待したいです。インドへの国を挙げての進出を日本の成長戦略の一つに位置づけてもらいたいところです。

3 US entities lobbied on tax plan
Wal-Mart just one player in the giant US lobbying game

この話題ばかりになってしまいますが、引き続き関心が高いようなので。
Walmartは2008年以降、様々なロビイング活動に2500万ドルを払っていた、というのは前から報道されていましたが(Walmartの米国でのLobbying費用、使途は如何に?)、当然、ほかのインド進出を狙う米国企業・団体も相当の費用を使ってたとの報道。記事に挙がっている一例です。
  • ロビイング団体のFinancial Services Forum, Business Roundtalbe, Financial Executives International:今年提出された税金・予算関係法案に関する活動
  • Boing, AT&T, Starbacks, Lockheed Martin, Eli Lilly, GE:「特定のロビイング事項」(インドにおける市場開放やサポート)
  • Pfizer:ジェネリックの価格設定についての最高裁決定
  • Prudencial Financial:インドの金融市場へのアクセスやエクイティの所有について
アメリカには、これらのロビイング活動について、登録をして四半期ごとに開示をさせるという規制がありますが、インドにはありません。で、Infomation & Broadcastingの大臣は、これを受けて、アメリカのような仕組みをインドも導入すべきでは、ということを個人的な意見として、言っているようです。

これを見て思ったことは、こんなふうにやってるから、とりあえず立法案だけ、そして実際には適用されていない法律だけ、どんどんできるんだろうな、この国は、、ということです。
たとえば、ここ数年で贈賄防止関係の法案自体は、10くらい国会にかかっているそうですが、まだどれも国会を通っていません。はたから見てると、今ある法律をきちんと運用することの方が10倍意味がある気がするのですが。。。

India and Pakistan seal accord to ease visa restrictions

インドの西側の国、パキスタン。歴史的にはイギリスの統治後、ムスリムがたくさん住んでいた地域がインドとともに分離独立、 ただしインドとの間で何回か戦争をしていて、2008年にはムンバイでテロも起きたし、当然仲が悪いと思っていました。

それが実は、両国間のビザ要件を緩和し、人の行き来をより自由にしようということです。
  • 両国でそれぞれ訪れることができる地域を増やす
  • ビザは2年間有効なものを65歳以上の人、両国間で結婚した人、12歳未満の子供に認める
  • ビジネスビザで来た人で収入が500万パキスタンルピー以上ある人は、Police reporting(FRROに行くことでしょうか?)も不要
  • 一定の要件でVisa on Arrival(当該国についてからビザを申請、取得すること)もOK
  • 中規模の団体旅行向けのビザも発行
と、結構オンパレードです。(過去の経緯を把握していないのですが、元々が相当制限されていたんでしょうね。。)当然記事でも、和平に向けた歴史的な前進、という形で表現されています。
 
インドがでかすぎてあまり気づきませんが、実は、パキスタンって人口で言えば1億8000万人で世界第6位(中、印、米、ブラジル、インドネシアに次ぐ。日本は10位)、GSが言うところのNext 11というのにも含まれている成長期大国です。聞くところによれば、インドで日系企業が直面している課題が実はあまりないのが、パキスタン、、ということだそうです。パキスタンの法律とか、全く知りませんが、先を見据えると需要があるのかもしれません。

Hitachi, Panasonic to make India base to access Africa, Middle East; plan Rs 5,700-cr investments

昨今、日本の根幹産業の一つであった電化製品メーカーが軒並み赤字、そして相次ぐリストラといった状況で、暗澹たる雰囲気があると思いますが、こちらインドでは逆に、ここぞとばかりに一気に投資額をつみまして、各社シェア獲得に必死です。

その中でも、日立は、102年という企業の歴史の中で、初めて日本国外で取締役会を開催したのが、なんとデリーとのこと。もちろん、シンボリックな意味が強いのだとは思いますが、長い歴史を持つ老舗企業が新しいことにチャレンジしていく、強い決意の表れだともいえます。今後4年で470億ルピーをつぎ込んで5つの工場を建設し、2015-16年には、2000億ルピーの売り上げを目指します。さらに、米国、欧州、中国、東南アジアと並んで、インドにも地域統括本部を置きます。労働者も2015年前に倍増し、13000名に。ちなみに、以下が昨日のニュースリリースです。

日立グループインド地域戦略2015について

同じく、Panasonicも、100億ルピーを投資し、2014-15年に2000億ルピーの売り上げ目標とか。2018年には、なんとインド国内でトップのシェアを目指します。エネルギー関係の製品とLED電球が主力商品となります。
記事ではほかにも、ソニー、キャノン、シャープの情報も挙げられています。
正直インドで暮らしていて、家電量販店で見かけるのは、カメラを除いて今のところ韓国勢です。質の高さしていた日本企業にとっては、根本的な発想の転換が必要なところですが、大いに期待したいです。

そして、記事には、日立もパナソニックも、インドを基点に中東やアフリカにも展開していきたいとのこと。こちらにいると、このような、インドを拠点としたさらに西への展開についてどう考えるか、という意見を耳にすることが少なくないのですが、日本にいる方はまだぴんと来ないかもしれません。
ただ、国際社会を前提とする限り、もはやこの流れは必然で、日本一国の力では止まりません。今のところアフリカに展開している弁護士までは聞いたことがありませんが、おそらく後10年もすれば、当然カバーすべきエリアの一つになるのではないかと思っています。


Government orders probes into Walmart lobbying issue; supermarket chain says graft US-centric

このブログでも複数回取り上げているWalmartのFCPA(米国外国公務員贈賄防止法)違反の件ですが、さらに新しい動きが。

ウォルマートがインドで米国外国公務員贈賄法違反か
Walmartの贈賄調査続く。贈賄なしにインドビジネスは可能か?

先日、米国のWalmartが4年間で25億ドル(後日訂正:USD 25 Millionでした)をLobbyingに使っていた、そのうちにはインドへの進出に関するものも含まれる、ということを明らかにしました。複数ブランドの小売規制が緩和されたこともあり、インドでもWalmartの動向が気になっているのですが、参入に反対の野党は、 退職した裁判官を指名してこの件を調査すべきだと主張。どうやら、与党側もこれに応じるようです。当然、インドの合弁会社Bharti Wlamartは、親会社のLobbying費用は(インドの公務員への接触に関するものではなく、)米国での役人に対する費用に限られている、と今のところは答えています。。上記の開示も、米国でのLobbyingに関する開示規制に従ったまでだ、とのこと(年間11500ドル以上の費用は開示が必要)。

先日公表されたTransparency Internationalという機関の汚職認識指数2012年版では、インドは昨年とほぼ同じで170国あまりの中で、94位。まだまだ汚職の問題は大きい国ですね。

CORRUPTION PERCEPTIONS INDEX 2012

さらに実は、Walmartには、もう一点外資規制に絡む問題があります。現状、 インドの合弁会社であるBharti Wlamartは、小売ではなく、先に外資規制が開放された卸売事業、ということで事業をしていますが、それに関するWalmartによる45.5億ルピーの投資について、RBI(インドの中央銀行)に対して、記録が提出されておらず、外資規制違反ではなかったか、という点も指摘されています。こちらは、Bharti Wlamartとして数年すでにビジネスをしていたのに何をいまさら、、という感じもしますが、Walmartのインドにおける注目の高まりを示していると思います。

Maruti issues grim outlook for auto industry

今日は純粋に数字の話ですが、インド最大の自動車メーカー、マルチsuzukiの今後の見通しは、かなり悲観的だという報道です。

今までのような二桁の成長率を維持するのは到底無理、今後3年間は一桁成長にとどまる(5%程度にとどまるのでは、、という声も)、2015-16年までに500万台の乗用車の販売を目標にしていたのも達成は難しいため400万台に切り下げ、さらにマーケットシェアも、50%の目標から現在の40%を死守、というところで、どれもかなり厳しい見通し。
これについては、政府の成長政策に対する意思が見られないのが最大の原因だとしています。 インド経済全体の成長も、1年前が6.7%のGDP成長率だったのが、この9月末四半期は5.3%。。もちろん、suzukiについては、この夏の労働問題に起因する暴力的な事件の影響も大きかったそうです。現在のマーケットシェアは実は38%台になっているそう。 

成長戦略としては、今までのハリヤナ州の工場に加え、日系企業が注目するグジャラート州での新工場設置があります。1600億ルピーをかけて年間120万台の生産能力を獲得する計画ですが、実はこれも需要の伸び次第では、、と言われています。

とまあ、悲観的な話が続きましたが、これをどう評価するかは意見が分かれるかと。政治の方針が定まらないのは選挙のタイミングもありますが、ここ数年で一気に経済成長してそれに伴い顕在化した問題に対処している部分が大きいと思います。中国に比べて減速したとも言われますが、一般論として、民主的な社会の成長としては当然の反応であって、今は問題解決に一つ一つ、取り組むべき時期かなあと感じます。

Congress now sans Oppn licence for bank reforms as BJP acts tough, BSP seeks quid pro quo

 本国会では、銀行法の改正も審議されていますが、野党の厳しい反対にあっているようです。

今回の改正案では、民間銀行の投資家の議決権が現在10%に制限されているものを、26%まで引き上げるとともにRBI(インドの中央銀行)の監督を強める(国有銀行についても、現在の1%から10%への引き上げを検討中)としていますが、これが、立法に関係した委員会(Standing committee)の作った法案には含まれていなかったとして、野党が批判しています。実際、会社法の改正案については、このような批判を受けて実際にStanding committeeに差し戻された実例があり、これと同じ扱いをすべきだ、という主張です。国会審議もこれで一時ストップしているとか。
(これらの数値は初めて知りましたが、改正後の数字を見ても、やはり金融業界については国のコントロールが非常に強く残っているのだなというのが印象です。。)

銀行法とは別に、インド社会において虐げられてきた人たちのために政府の仕事のうち一定のものをその人たちのわくとする法律案(quota bill)というのが別途議論になっているようで、こちらは政治的には(選挙対策的には)重要なポイントと思われます。このあたりの駆け引きが銀行法改正案の成立にも影響すると思われます。



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