blogでインドビジネスニュース速報-弁護士が見たインドの今

日本人弁護士が気になった、新聞報道に基づくインドの最新の動きをお届けします。

SC dismisses Sahara plea on OFCD refunds

この問題、このブログを始めたときから一定の頻度で記事になっていたのですが、タイミングを逸していましたので、この機会に。

Saharaというインドのコングロマリッドのグループ会社2社が、2008年4月から2011年4月まで、Opitionally Fully Convertible Debentures (OFCDs:転換社債のようなものかと)を使って資金調達をした際、会社法やSEBI法が定める公募規制に違反したとして、2402億ルピーと15%の年利をつけて個人投資家に返金しなさい、という最高裁判決が昨年8月に出ています。ものすごい金額でし、年利がすごいですね。

上記の判決自体に対して、Saharaが昨年10月、最高裁に再審査を請求していたのですが、これが棄却されたと言うのが今回の記事です。 

さらにいうと、この返金期限はもともと11月だったのですが、Sahara側が別途ごねて時間的猶予を要求。最高裁はこれに対し、最初に512億ルピーを供託して、あとは今年1月と2月に残額を分割で払いなさい、と昨年12月に命じています。ただ、Saharaは、今度は新聞広告を使って、OFCDsの一部は償還されているから、残債は262億ルピーだ、と反論しているようです。。

最後におまけですが、Saharaはこの新聞の編集者などに名誉毀損の訴訟も提起しているそうです。もうこうなるとやりたい放題ですね。。

(1月14日追記)
昨年8月の判決の概要をもう少し補足します。
本来、50名以上の投資家に対して証券の募集をする場合には、(会社法に従うだけでなく、)日本の規制と同じく、SEBIルールに沿った開示手続きが必要となるのですが、なんとSaharaの2社は、3000万人以上の投資家を相手するのに、100万以上のエージェントを用意して、各エージェントは50人未満という要件を満たして募集していたから、SEBIルールにはそう必要がない、と主張していたようです。
どんな方法をとろうと、3000万人からお金を集めておいて募集ではない、、という主張をするなんて、すごすぎますね。。しかも、最高裁の認定では、各エージェントが知り合いのような小規模の人たち「だけ」に声をかけていたと言う実体もなかったようですし。なお、ほかにも会社法と、SEBIルールの整合性などをとう主張が色々交わされたようですが、実態から言って、これはSaharaサイドの主張は苦しすぎます。。
どうやら、当初からSEBIの調査以来に対しても協力的でなかったようですし、時間稼ぎのあの手この手を使っているあたりからも、かなり「筋の悪い」事案と言えます。その意味で、この判決の先例的価値がどこまであるのか、という点は慎重に理解すべきかと思います。

Sebi to pass final order on RIL insider trading

日本でいう証券取引等監視委員会と金融庁のようなな役割を果たしているSEBI(Securities and Exchange Board of India)。リライアンスの2007年のインサイダー取引疑惑について、同社との司法取引には至らなかったので、新市場へのアクセス禁止や上場廃止などのさらに強い措置を検討する、とのことです。

前提として、このような司法取引自体は、2007年に米国の制度を真似して導入されたもの。調査対象となった企業・個人が、捜査に協力して一定のお金を払うことで、当局はそれ以上の訴追をしない(調査対象も有罪かどうかを認める必要はない)という制度で、有限な司法資源を効率的に使うためのものです。日本にはこのような制度はないですね。

で、報道によれば、2007年、リライアンスがグループ会社リライアンス石油との合併に先立ち、同社の株式を売買したことがインサイダー取引に当たるとされています(51億ルピーの不正な利益を上げたとされています)。この件について、2008年にはSEBIの調査が始まり、2010年からは準司法的な手続きが進んでいて、3度の司法取引が試みられたが、現時点では合意に達していない、という状況です。事実関係の詳細は不明ですが、SEBIの態度から見て、それなりに確度の高い有罪の証拠があるのでは、、と推測されます。

この司法取引が失敗した後の流れとしては、直ちにいわゆる刑事裁判になると言うわけでも必ずしもないようです。(ちなみに刑事裁判の場合、2.5億ルピーか、インサイダー取引を通じて得た利益の3倍の、高い方の罰金刑です) その中間的な性質の手続きとして、SEBI ACT 11Bという規定があり、これはSEBIが投資家や資本市場の利益のために、適切な命令を出せるというものです。この条文だけ読んでもよくわかりませんが、記事によると、資本市場を通じた資金調達の禁止や、上場廃止、さらに(議論はあるものの)不正な利益の吐き出し、などを命じることができるとのこと。

今後の動向を見守る必要がありますが、SEBIとしては、調査開始から4年以上経過していますし、過去最大規模の案件のようなので、妥協した形の結論は難しいのでしょうね。

(備忘)
司法取引(Consent Order)のガイドラインです。

New Companies Bill to bestow more discretionary powers on government

今日は弁護士の仕事に関するマニアックな話です。

法律というのは、それだけを一生懸命読んでも「実際に適用されるルール」がわかるようにできていることはまれです。というのは、日本で言えば、法律の条文で定められた要件について、「政令で定めるものを含む」 とか「内閣府令で定めるものを除く」とか、別の規定(国会で承認されたものではなく、行政庁が定めた規定)によって、さらに細かく規定されているので、実際のところは関連する政省令を全部「発見し」(これがまず結構大変な作業です)、その上で、関連する政省令の条文とあわせて法律を読む作業が必要になります。
そして、このような政省令への委任が多くなればなるほど、「実際に適用されるルール」に対して、法律を作った立法府のコントロールが弱くなり、法律を適用する行政庁のコントロールが 大きくなります。

現在、インドの上院にかかっている会社法の抜本的な改正案(先日の下院での決議についてはこちら。銀行法、会社法改正案、下院にて可決)では、このような政省令への委任を定める規定が全体の74%あるとか。(現在の会社法では16%。ただ細かい話ですが、何が分母で何が分子の割合なのかというのがわからないとなんともいえない気もしますが。)たとえば、会社は、5年ごとに会計士を変更してキャッシュフロー計算書を開示しなければならない、というルールが法律にある場合、どの会社がこの義務を負うのかが(公開会社だけか、非公開会社も含むのか、など)、政省令に落ちているそうです。

このような政省令への委任は、法律で定めてしまうと正式な国会手続きを経ないと変更できない事項について、社会の変化に沿って迅速に変更できるというメリットもあるのですが、上記の通り、これ自体、国民により信任された国会議員ではなく、公務員が作ったルールなのに、実質的に法律と同じくらい重要な意味を持ってしまうことになっていいの??という疑問があります。法律実務に関わる者としても、法律の改正だけを追っかけていても実際に適用されるルールがわからず、政省令が出た時点で改めて勉強しなおし、、となってしまうことになります。


Mumbai-based Lodha Group to sell Lower Parel project through IPO model

ムンバイに拠点を置くディベロッパーがマンションを売り出す際、特定の眺望を保証するプレミアムをなしにする代わり、価格を低く抑え、部屋は一定の条件に従ったアルゴリズムで割り当てよう(記事では、これをIPOのような割り当てと表現しています)、ということを計画している、との記事です。この方法自体、政府系の物件では使われていたものの、民間の業者が扱うのは初めてとのこと。昨年のインド経済の減速(とは言ってもGDP成長率は6%台だとは思いますが)のため、不動産市場も落ち込んでおり、これに対する対応策の一つのようです。

2ベッドの部屋が3500万ルピーから、3ベッドは4500万ルピー、4ベッドになると6750万ルピーと、安くしているとは言ってもムンバイでは「億ション」に届いてしまう勢いですね。。ムンバイはもともといくつかの島の間を埋め立てて今の反騰のような形になっており、基本的に土地がありません。ただ最近は、かつての紡績関係の工場跡地がごっそり再開発でマンションやオフィスパークになることが多いようですが、このような高額の物件を購入する層がどんどん現れていると言うことですね。

DLF case: CCI seeks changes in builder-buyer agreement

インドの独禁法、M&Aの文脈でも一定規模を超えるものはその審査をスケジュールに織り込んでいくことが重要となりますが、今回は、不公正な取引が問題となり、私人間の契約内容が修正されようとしている、という話題です。日本法でも同様の議論があるかと思いますが、インドの独禁法は、インドの公取が、契約内容を修正する命令を発する権限を持つことが明文化されています。

デリー近郊のグルガオンでのアパートの開発に関し、ディベロッパーであるDLF Ltdと各買主が結んだ契約について、前者が支配的な地位を利用して一方的で不公正な契約条項を合意している、と判断されました(別途6.3億ルピーの罰金も課されています)。

命令文は、104ページにも及ぶようですが、記事によるとたとえば以下の条項が是正命令の対象となっています。ちょっとこれだけ読んだだけでは正確な内容がわからないのですかね。。
  • 当初の合意された建設契約を超えてディベロッパー側が追加工事をするのを認める条項は、これを認めない
  • 買主に販売されなかったOpen spaceのディベロッパー側の単独所有権を認める条項を、所有者間の行動所有権の対象とすべきとする
  • 契約違反があった場合の補償条項を削除する
  • 買主による支払いは、建設の完成の程度に応じて段階に行われるようにする
  • ディベロッパーが組織した組合への買主の加入を定める条項を削除する
独禁法自体、できて10年の比較的新しい法律であり、インド人的には独禁法の趣旨(公正な市場を確保し、独占的または強調的で不公正な行動を規制する)なんて、きっとほとんど理解していないんだろうな、、と思います。

あけましておめでとうございます。2013年もよろしくお願い申し上げます。

Tackling current account deficit: FM P Chidambaram likely to place more curbs on gold imports
Jewellers expect gold demand to rise 15% in January-March as farmers hope for a better rabi harvest
 
インド人が金を好きなのは比較的有名な話だと思いますが、 どうやらこれが国家の財政に悪影響を与える規模だと言うことで財務相が注意喚起しています。

インドではそれほど裕福でない家でも結婚などのお祝いの際には金のジュエリーを贈る習慣があります。記事によると、昨年のDiwaliはモンスーンの影響で農作物の出来がいまいちだったものの、今年の冬は生育がよいようで、農家も売り上げを見込んで高価な金を買っているようです。インドの農家は大多数が零細農家だと思いますが、それが金需要の10-15%を占めており、結構な割合です。
ただ、この需要を国内だけではまかないきれず、かなりを海外からの輸入に頼っています。その額、3兆ルピー(5億円弱)とか。昨年も輸入を抑えるために関税を2倍にしたものの、あまり効果はなかったようで、この傾向が続くようなら、更なる措置もとらないとね、、と財務相が言ったということになります。(具体的な措置にまでは言及していないようです) 

経常収支の赤字が続いており、外貨準備高が減少しているとのことですが(ルピー安にもつながります)、金の輸入が抑制できればこの傾向を止められるとか。ただ、他方で、外国によるインド投資をもっと呼び込むことによっても、この傾向をとめることができるので、その意味でも、外資を使ったインドの経済成長は必要、となります。 

外人の私としては、ちょっと贅沢して金のジュエリーを買うくらいいいじゃない、、と思いますが、やはりインドの人口規模を考えると、単純な話ではないのですね。。

2012年10月に開始したこのブログも早3ヶ月。年末ということもあり、少し趣向を変えて、インドに来てから気づいたことを雑多に書こうと思います。自分の専門分野でないことも感覚的に書いていますので、実際違うということももちろんあろうかと思いますが、一つの意見としてご参考までに。
 
1.インドに関する正確な情報を得ることは難しい
このブログを始めた一つのきっかけでもありますが、一部の有料の情報ソースを除いて、インドの実態に関する日本語の情報を得ることはなかなか容易ではありません。
(インドの新聞記事からブログを書いているくせにこんなこと言っては元も子もないのですが、)インドの新聞自体、どうも商業主義の傾向が強いのか、正確な情報ではないこともしばしばあるようで、ある教養のあるインド人と話していたところ、新聞の記事はあまり信じていない、とのことでした。とはいえ、全く日本語の情報がない状態に比べたら、少しでもとっかかりになる情報はあった方がよいかと思いますので、このブログも、来年も続けていきたいと思っています。

2.インド投資は数年単位ではうまくいかない(成功するには一日でも早く進出すべき)
こちらにきて日系企業の方と直接お話しさせていただく機会も多いのですが、大多数の方が、思うようにビジネスがうまくいっておらず、数年たってもまだまだ赤字です、、というお話がほとんどです。海外進出の一般論として、新しいマーケットで最初苦労するのは当然なんでしょうが、12億とも言われるマーケット規模に対する期待感がどうしても大きいため、そのギャップ感が苦労をより大きく感じさせているのかもしれません。
一方、インド市場で存在感を持っている数少ない業界である自動車産業は、10年、20年以上前から進出して独自の苦労をされた結果が今、現在のシェアなのだろうと思っています。私自身、もう1、2年でも早くインドに来ていたら、もっとうまく仕事ができているのではないか、、と思うことも多いのですが、今更それを言っても仕方ありません。
将来的なインド進出を検討されている企業の方に言えることは、日本で限られた範囲で情報収集をするのであれば、一日でも早く自社の人材を現地に送ってビジネスの可能性を探る方が、何倍も有益だ、ということです。(なお、時間を買うという意味でのM&Aは非常に有益な手段ですが、既存のインド法人を日系企業が買収する際には、日本の感覚からすれば相当なリーガルリスクを取っている、という意識を忘れてはいけないと思います)
今のところ、感覚的には、インド投資は「宝くじ」くらいの期待値でしょうか。大半はお金の無駄かもしれません、でも、宝くじを買わなければ絶対に当たりません。

3.実際上問題になるルールの多くが連邦ではなく州のルールである
インド憲法上、連邦政府の管轄事項、州政府の管轄事項、両方の共同管轄事項の3つが規定されていますが、実際上、州が権限を持っていることが思った以上に多く、インド国内の複数の場所でビジネスを展開する場合、それぞれ現地に応じたルールを把握する必要があります。たとえば、外資規制、会社法、証券法制なんかは連邦法なのですが、労働法、不動産関係、各種ビジネスに必要なライセンスなどビジネスを進める上でより具体的に問題になるルールは州法マターであることが多いです。そして、こういった情報に日本人がアクセスすることは容易ではありません。このあたりは、ビジネス上の必要経費と割り切りとして、コストを払ってでも、信頼できるインドのコンサル、弁護士、会計士などのプロを雇って進めることがマストだと思われます。

4.立法により予定されている国の姿と、実際の国の姿は大きく乖離している
一般論として、インドは法治国家である、といわれてますが、何を持ってインドが法治国家なのかは大いに疑問です。成文法がたくさんあることを持って十分とするならば、確かにそうかもしれません。ただ、重要な成文法が時代遅れだったり、法令相互の関係がよくわからなかったり、特に政令・府令レベルになると条文の作りがいまいちだったりします。また、ご案内の通り、法の実際の適用・執行を見れば、とうてい法治主義が行き届いている国家と言えるレベルとは思えません。このあたりは、行政・司法のインフラが国の成長スピードに追いついていないのが原因かもしれません。また創業株主たる地位、会社役員たる地位などを不正に利用し、会社、証券市場など通じて不正な利益が社会の一部に集まっている、という実態もまだまだ是正されていないように思います。
いずれにせよ、立法がどうなっているかを把握するだけでは、この国の実態を理解するには、全く不十分と言わざるを得ません。

5.インド人は過去をあまり気にしない、未来を見ている
日本人の感覚からすると、過去、一定のルールでやってきたことを何かの理由で変えなければならないとき、常に「継続性」の議論が出てきます。今、ここでルールを変えると、過去の一連の出来事も実は正しくなかったのではないか、という問題が起こるから、できるだけルールを変えたくない、、というものです。(日本人の真面目さが原因なのでしょうか)
一方、インド人はあまりそういった関心はないようです。60年前にできた憲法だって、100回近く改正していますし(そもそも長文で、かなり細かい内容を規定していることにも原因がありますが)、ある人は、朝令暮改ではな朝令「朝」改の感覚でルールが変わると言っていました。改正したルールの遡及適用、なんて日本ではありえないようなことも、平気で議論になったりします。また、企業買収のプライシングについても、インド人は(過去の財務諸表はともかく)バラ色の事業計画に基づいて売却価格を提示してくるようで、その当たりも日本人とは全然感覚が異なります。(最後の点は、既に成熟した国家と、これから成長していく国家の間にある、一般的な違いなのかもしれません。)

6.インドにはお金がない、インフラ整備、雇用確保は外資頼みである
ボーダフォン事件などのインド税務政策もそうですし、FDI規制の解放もそうですが、インド国内には国の成長に必要なインフラを整備するに十分なお金は全くありません。国の大きさ、人口の多さに比べて、やはり財政的な基盤は貧弱過ぎるのだと思います。その意味で、外資からお金を出してもらえるような政策になりますし、逆にインドへ進出する企業としては、そのような費用(税務リスクを含む)も込みで投資総額を判断し、それでも見合うリターンがあるかを判断していくことになるのだと思います。
もう一点、インドにいて感じることは、やはり製造業が著しく貧弱なんだと思います。ショッピングモールやホテルでも、手持ちぶさたな従業員がたくさんいます。第三次産業でむりに雇用を作っていますが、まさに無理矢理で、本来的には、もっと第二次産業が発達しないと国を維持できないはずです。その意味で、日本が存在感を示せる可能性は、無限に広がっていると感じます。

7.インドはまだまだ×2、日本と比べたら発展途上の社会である
4.や6.の内容とも重複しますが、物質的にも精神的にも、まだまだインドは発展途上の国家だと思います。公務員に賄賂を渡すのは当たり前、男尊女卑の考えは当たり前(直近で話題となっているレイプ事件も然り)、禁止されたはずのカーストに基づく差別も実際は残っている、英語がビジネスで通じると言っても国全体で見たら教育水準は著しく低い、農村部を中心に貧困問題が解消されていない、などなど、挙げたらきりがありません。その意味で、日本の商品・サービスをこの国で提供するには、相当大きな価値観の差異を前提とした、商品開発、マーケティングなどが必要なのかな、というのが素人意見です。
なお、いやこれがインドなんだ、こういったインドの時間の流れ方が好きだ、このままの姿であってほしい、という意見も一理あろうかと思います。ただ、そんな風に思っているインド人がどれくらいいるのかは不明で、ネットで世界中の先進国の情報が入ってくる現在、やはりこれらの国のように(少なくとも物質的には)豊かな生活を送りたい、というのが人間の心理なのかな、、という気がします。



New committee to determine caste beneficiaries

日本企業としては、インド市場の成長性ばかりに目が行きがちですが、インドという国全体を客観的に見ると、まだまだとても貧しい国だと思います。

インドのGDPの3.5%、3兆ルピーが総額でこのような補助金などに当てられているようですが、州ごとにルールや基準が異なるため、今まで使っていたBelow poverty lineの基準とは別の基準を作り、異なる福利政策からもれてしまう貧困層がいなくなるようにするため、新しい委員会を設置するそうです。来年3月末をめどにレポートを提出する予定とか。

連邦制、中でも州の力が強い制度をとっていると、国内全土で平等に扱うべき政策があったときにどうしても平仄がとりにくいのだと思います。このあたりに不満があると、おそらく2014年に予定される総選挙に悪影響がある、ということで現在の政府がそれまでに制度の見直しをしたい、というところでしょうか。。

The India bar exam: a regulator’s rocky road

インドに司法試験ができたのは実はかなり最近の話で、それ以前は、いわゆる法学部を卒業して登録をすれば、弁護士業務ができる、ということになっていました。それが、2011年3月からAll India Bar Examinationという司法試験を導入し、今月9日には4回目の試験が実施されました。

ただ、そこはインドなので、当然スムーズに行くはずもありません。試験時間が遅れる、試験会場が非常に不便な場所にある、受験生が少なかったため会場設置が見送られた場所で受験生が怒る、試験時間中に受験生の間で回答が回される、予定されていた試験日程から試験を補助する民間事業者の選定にてこずり日程が二点、三転する、受験料が値上げされた、、などなど、まだまだ問題が多いようです。

極めつけは、司法試験委員会が司法試験を課していいのか、という点が争われたとのこと。そもそもインドの弁護士法に当たるThe Advovate Act, 1961は、一定の法学位をとった学生は裁判所にて法律実務を行うために州の弁護士会に登録できる、と定めています。一方、司法試験委員会がこの登録に追加的な要件(=司法試験の合格)を課していいということは法律に書いてありません。そこで、司法試験委員会は、これは「登録に先立つ要件」ではなく、「登録後」司法試験を受けずに裁判所にたつことだけを禁止するのだから、OKなんだ、と主張したとか。。
っていうか、司法試験作るときに、こんなこと誰も気づかなかったのでしょうか。不思議でしかたありません。

本屋で問題集が売っていたので見てみましたが、5択のマークシートで、ある法律用語の定義は何か、とか、ある内容を規定する法律の条文番号は何か、とかいう問題も含まれていました。。この問題集が駄目なものだっただけかもしれませんが、、、、うーん…という感じです。


Ikea’s meatballs may be on its Indian menu after all
Hungry for FDI in retail, Govt likely to accept Ikea's global model

前回の記事(IKEAの製品、実は半分しか承認されておらず。家具以外はNG?

インド最規模の小売業への外資参入であるIKEA。先日は、当初の予定の半分の商品の販売しか政府からOKがもらえなかったとお伝えしましたが、ここに来て、IKEA側が盛り返してきました。
単に家具だけでなく、それ以外の生活雑貨などの販売や店舗内でのカフェの運営すると言う業態について、これ全体がIKEAが世界44カ国で展開しているビジネスもであるである!ということを政府関係者に対してプレゼンテーションをしました。これを受けて、商工省の大臣も、そりゃそうだよね、IKEAの意向に沿った形で承認できるよう、手続きを進めたい、という意向を表明したそうです。

一個目の記事にもあるように、元はと言えば、この問題は、FDI規制にある、複数ブランド小売と単一ブランド小売って、そもそも何?という定義が存在しないことに端を発しているようです。政府としては、当初単一ブランド小売とは、そんなたくさんの種類の商品を売ることを想定していなかった、であるとか、単一ブランド小売は食品を売ることを想定していないからレストランはNGであるとか言っていたようです。ただ、IKEAとしては、世界中でこの形でやってるし、別にぽつんとレストランだけを作って地元のレストランと競合しようという意図もないですから、まあIKEA側の言っているとおりと。

そもそも今年9月の単数ブランド小売規制の緩和(ブランドを自身が保有していなくてもライセンスを受けていればOK、地元業者から30%以上の仕入れを義務から努力義務に緩和)も、IKEAからの強い要求を受けてのものであり、それは当然、19億ドルと言われる投資額がインドに落ちるという見込みがあったからこそともいえるので、IKEA側としては、結局認めてくれるんだったら、もっと早く進めてよ、、ということかもしれません。

とはいえ、今回のIKEAが先例となれば、単数ブランド小売の解釈が事実上広がったともいえるので、この部分は類似の業態の企業にとってはチャンスだと思います。

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